【ヒガシヘルマンリクガメの産卵(こだま 2クラッチ目)】
- 2019/06/28
- 20:00

【ヒガシヘルマンリクガメ(こだま 2クラッチ目)の産卵】

↑今回の記事の主人公 ヒガシヘルマンリクガメの雌 『こだま・ミルフィーユ』です。
6月25日に産卵してくれました。今回は、こだまの産卵の様子を記事にしています。
1.こだま・ミルフィーユの経歴。
こだまは、お迎え直後からほとんど大きくならない子でした。
恐らくですが、お迎え前に病気を患った経験をしていて、成長が止まってしまっていたと思われます。
体調を万全にするため、屋内飼育していましたが、屋内飼育では成長停止スイッチ※①を解除できないと判断。
3年前から野外放し飼いにしました。
野外放し飼いにしてから、こだまは驚くほど成長しました。
そして、昨年には、産卵し孵化仔も得ることができました。
お迎え時の段階で、2年くらい経っていたサイズでしたので、約10年かけて繁殖に至ったことになります。
成長しないと諦めた時期もありましたが、まさかその子が母親になるなんてと感動しました。
※①…リクガメは、成長時に風邪をひいたり体調を崩したりすると、成長停止(若しくは大幅に遅れる)する場合が多いと感じています。これを『成長停止スイッチ』と私は勝手に呼んでいるのですが、停止のスイッチを解除してあげる必要が出てきます。
その際に効果的な方法として、野外放し飼い(太陽光に直接あてる)と私は考えています。
飼育中のリクガメがなかなか大きくならないとお悩みの方、ご参考になさってくださればと思います。
2.産卵の経緯。
こだまにとって、今回の産卵は2クラッチ目となります。1クラッチ目は13日前に卵を1個産んでいます。
今までの経験から、最速で次のクラッチは3週間後からを目安にしていました。
今回は、その前に産卵前行動(今回は後ろ脚で掘る仕草)が見られたので、屋内に移動させて産ませることにしました。
産ませた場所は移動式の産卵床です。


写真は、移動式産卵床です。
サイズは、約450×486×600(高さ)㎜です。 土の深さは約20㎝。
450×250×18(厚)㎜の木材とベニヤ板で産卵床を作成。
次に450×350×18(厚)㎜の木材で囲いを作成して載せています。
産卵床と囲いは着脱可能としています。
作った産卵床は動かせるようにキャスター付きの台を作成し、その上に載せています。
産卵床を使用しない時は物をのせる台として使えるように蓋も作成しています。

屋内の場合、小型の雌亀はここで産卵してくれるかを試します。
※産卵床に入れている写真の個体は、こだまです。こだまの大きさは、甲長約150㎜、甲幅約120㎜です。
産卵床の大きさが安心して産んでくれるかの一つのポイントになると感じています。
土の状態…手で握った際に固まる程度が良いと感じています。※今回の土は園芸用の土を使用しています。
雌亀によって性格が異なるので、産卵初経験の時はどのような環境で産んでくれるかを試行錯誤します。
温度…雌亀は気温が低いと卵を産みませんので、今の時期は、レフ電球(60W)を産卵床の端につけて様子を見ました。
雌亀の産卵前後の行動、産卵場所等を記録して、次回の産卵の参考にしています。
『雌亀が卵を産みたいかどうかをすぐに察知できるか』が孵化率向上の鍵になると私は感じているためです。
今回は、こだまが産卵床にいる間、常に餌を与えていました。特にレタスを好んで食べました。
※抱卵時は食欲が落ちる個体が多いのですが、レタス等の水分の多い野菜は好んで食べる個体が多いようです。
今回は産卵前行動から4日経過後に産卵しました。点灯していたレフ60Wの直下に産んでいました。
3.卵の状態。
今まで1、2個しか産まなかったこだまですが、今回は大きな卵を3個、産んでくれました。
前回クラッチ分の残りも含まれている可能性もありますが、驚きでした。

↑3個並べての写真です。



↑卵は、全て孵卵開始1日後の写真です。
CMⅡ-③が白濁の範囲が広く発生が3個の中で一番早く進んでいるようです。
孵卵温度が高め(約33℃)でしたので、1日で発生(白濁※②)が進んでいました。
ヘルマンリクガメの場合は、私の孵卵条件ですと3日目以降くらいから卵に変化(白濁)が見られます。
※②…有精卵の場合、卵の天面中央から白濁が広がっていくのが特徴です。
ヘルマンリクガメの場合は、孵卵温度31.5℃で雌雄半々で孵化すると言われています。
一般的に、リクガメは温度依存性決定(TSD)の生き物とされ、孵卵時の温度や環境が性別の決定に影響を及ぼすと考えられています。
これから、こだまの卵がどのような経過を辿るか楽しみです。

こだまちゃん、本当にお疲れ様でした。