【孵化直後の幼体看護記録-ヘルマンリクガメ- 】
『今年初の赤ちゃんは、ヘルマンリクガメだ!』と喜んでいたのも束の間、翌朝には卵から飛び出した状態で息絶えている孵化仔を発見…。喜びから悲しみに・・・。

↑ヘルマン1匹目の孵化時。バーミュキュライトに注水しましたが、翌朝夭折。
乾燥状態のまま孵化開始の幼体は、過去の経験上、仰向けに近い状態で出てこようとする場合が多い気がします。
※乾燥のため卵殻膜等に幼体(卵黄等含む)が固着気味にてなってしまい卵内でもがくためかもしれません。

↑卵から完全に出た状態で残念ながら息絶えてしまった幼体の腹甲写真。
卵黄が大きく飛び出した状態であることが分かります。
通常、ホルスフィールドリクガメ、ヘルマンリクガメは、ほぼ卵黄は体内に吸収された形で出てきます。
※但し、インドホシガメやビルマホシガメは、卵黄が完全に吸収される前に卵から出てくる場合が多いです。
息絶えてしまった幼体ですが、卵黄が吸収される前に孵化を始めていたことから、継続的な乾燥により孵化のタイミングが早まってしまった点や孵化時の乾燥により卵黄が卵殻膜に固着気味になり正常吸収が阻害されたのではと予想しました。
ちょうど2個目の卵も孵化をはじめていたので、同様なことが起こると予想。

↑2匹目の孵化の光景。
2匹目は、孵化開始からより湿度を維持を重視し、湿らせた水苔を卵の周りに置いて対応しました。
完全に卵から出てから3日間、飛び出した部分の経過観察をしていましたが、完全な吸収が望めないと判断。
(この間、床材は孵化時の状態のままバーミキュライトの上に水苔で飼育。1日2回の温浴を実施していました。)
飛び出している部分が細菌汚染等で体内に入るのを防ぐために、獣医の先生に往診に来ていただきました。
診察いただいた結果、まだ内臓が外に出ており切除はできない状態とのご回答をいただきました。

↑飛び出している部分をポビドンヨード(商品ではイソジン)で消毒を行い、体内吸収と乾燥を待つという対応となりました。

↑診察いただいた後から、タッパーにはペーパーを敷いて対応しました。
幼体がいつでも食べられるように小松菜葉の切れ端を置きました。

↑孵卵器内に幼体を入れたタッパーを置いている写真。
卵黄が体内に吸収されるまでは、暖かい孵卵器内で飼育しました。設定温度31度、湿度70%前後。

↑1日、朝夜の2回の温浴を実施。
毎回の温浴後に飛び出している部分に先程ご紹介したポビドンヨードを塗り、消毒しました。

↑夜の温浴時は、青汁に幼体を浸けて水分と栄養補給を行いました。
その後、数日間は飛び出している部分は吸収されませんでしたが、乾燥はしてきました。

↑孵化開始後、9日目の朝に飛び出していた部分が完全に取れており感動。(幼体の状態は良好で一安心。)

↑孵化開始後11日目に60㎝らんちゅう水槽に移しました。
その後、13日目には採餌行動を確認。
排便・排尿はまだ確認できていないので100%安心できませんが、状態は日に日によくなっています。
引き続き、注意深く見守りたいと思います。